ペット海外事情レポート in 上海 ①動物病院・ペットショップ編

2017年8月、中国・上海に行き、動物病院やペットショップ、アジア最大級の展示会「ペットフェアアジア」を訪れました。
 
中国国家統計局によると、中国国内の犬の飼育数は約2,740万匹で世界第3位、猫の飼育数は約5,810万匹で世界第2位!中国のペット市場は、現在世界で最も急成長しているといわれています。
 
今回は、現地の動物病院・ペットショップの様子やペット事情、日本との違いについてご紹介します。

※アジア最大級の展示会「ペットフェアアジア」紹介記事はこちら

上海最大の動物病院「上海申晋動物病院」
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まず訪れたのは、「上海申晋動物病院」。24時間診療を行っており、本院のほかに分院が4カ所、郊外にCTやMRIを備えた検査センターが1カ所あります。

今回は本院で、インターン中の獣医学生の方にお話を伺いました。

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本院で働く獣医師と動物看護師は、それぞれ約10名。

実は中国の動物看護師はいわゆる研修獣医師にあたる存在で、大学卒業後に獣医師免許を取得すると(中国の獣医学部は5年制)、臨床に進む獣医師はまず動物看護師として1~3年間経験を積みます。

つまり上海申晋動物病院には、獣医師免許をもったスタッフが20名在籍しているのです!

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1階には待合室と診察室があります。訪問したのは平日の昼間でしたが、たくさんの飼い主さんがいらっしゃいました。

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待合室には、料金表が掲示されています。初診料は40元(1元=約16円、21時~翌8時半までの夜間は初診料150元)と、日本よりは少し低め。日本と同じく自由診療ですが、病院ごとによる価格の差はあまりないそうです。
 
中国の動物病院では、まず受付と同時に診察料を支払い、診察後に治療費や薬代などを追加で支払うようになっています。

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診察室は全部で3つ。すべてガラス張りになっており、待合室から中の様子を見ることができます。

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診察室の前に並ぶ、酸素室。

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ワクチンを打ちにきた猫。日本と同様、ワクチン接種後には証明書が発行されます。

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カルテの頭紙。電子カルテはなく、すべて紙で管理されています。

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2~3階には、常にほとんど満室状態だという36個ある入院室や、3つの手術室(一般オペ用・眼科オペ用・研究室用)、検疫室などがあります。いずれも清潔で、管理が行き届いている印象です。

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一般オペ用の手術室。1日に3~4件、手術があります。

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検疫室。中国国内の検疫はすべて上海申晋動物病院で行われます。

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診療が終わった後に覗く飼い主さんが多い物販コーナーは、待合室の横に設置。

予防薬や療法食に関しては獣医師が推奨はするものの、日本に比べ、オーナーの判断に委ねられる部分がかなり大きいようです。特に療法食については、獣医師のアドバイスに従わないオーナーも少なくないとのことでした。


日本発のこだわりショップ「上海美育ペットサロン」
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次にご紹介するのは、上海の高級住宅地として知られる静安大沽路にある「上海美育ペットサロン」。

こちらは、10年ほど前にボルビアルコン社が中国進出の第一歩として構えた店舗です。店舗は2フロアで、1階の半分が生体・物販スペース、もう半分と2階がトリミングとホテルスペースになっています。

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今回はマネージャーの正木さんにお話を伺いました。
 
開店当初は日本人の顧客が多かったそうですが、現在は中国人が半数、残りの半数を日本人と欧米人が占める本店。

来店する犬種はさまざまですが、やはり小型犬が主流で、最も人気なのはトイプードル!中国では気品ある犬として、特に富裕層に好まれているのだそうです。
 
また、日本で某CMの影響により白のポメラニアンが流行った頃から、中国でもポメラニアンに注目が集まるように。日本犬では柴犬も高い人気を誇ります。一方で、日本で人気のチワワやミニチュアダックスフンドは、飼っている方が少ないとのことでした。

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1階にある物販スペース。たくさんのグッズが陳列されています。

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猫グッズはこだわりのポイント。猫用品に力を入れているショップはまだまだ少ないのだそう。

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中国ではペットショップで予防薬を売ることができます。

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美育ペットサロンでは生体販売も行っていますが、中国にはいわゆるパピーミルと呼ばれるような悪質なブリーダーもまだまだ多いことから、仕入れ先は原則一般家庭で繁殖を行うマイクロブリーダーに限定しています。

犬の場合は、3回の混合ワクチンと狂犬病ワクチンを必ず済ませてから販売。ここまで徹底した管理をしているショップは、中国ではごく少数だそうです。
 
ちなみに中国では血統書がまだ整備されていないため、販売されている子犬たちにも血統書がついていないことが一般的です。

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こちらは、2階にあるトリミングスペースのシャンプー台です。

中国ではスピードトリミングが基本ですが、美育ペットサロンでは仕上がりの品質とスタッフへの負担を考え、トリマー1名あたり1日5頭程度と、無理のない頭数を担当。
 
シャンプーとカットがスタンダードなメニューですが、5%ほどの方は泥パックやスパメニューを利用されるそうです。中国人顧客には美容などのサービスが特に人気で、中には週1でシャンプー、月1でカットというようにサロンを利用する飼い主さんも!
 
また、デンタルケアは中国でも注目されており、無麻酔スケーリングが人気。

地域柄、愛犬にかけるお金は惜しまない飼い主さんが多いようです。

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美しく変身したワンちゃんたちのお写真が飾ってあります。

近年、競合となる中国企業のペットサロンも増えてきていますが、美育ペットサロンでは日本の技術や知識を積極的に取り入れることで差別化を図り、きめ細かなサービスで顧客のグリップを強化!

品質の良い商品やサービスを求める顧客のニーズを満たすことで、さらなる成長を目指していきたいと考えているそうです。


固定客約1000名の大人気店「奇宝ペットショップ」
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最後に訪問したのは、物販のほか、美容サービスを提供する「奇宝ペットショップ」。

400平米の広々とした店内には、プレミアムフードやケア用品、アパレルグッズなどが整然と陳列されています。

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店に入ると、まず目に飛び込んでくるのは日本製のアパレル商品。日本製は品質が良く、中国でも人気が高いそうです。

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フードやおやつ、シーツなども、日本語のパッケージのまま販売されています。

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豊富な種類のプレミアムフード。シニア向けに、柔らかめのセミモイストタイプも置いてあります。

現在は来店する犬の大体2~3割が、7歳以上とのこと。中国におけるペットの高齢化はこれからかもしれません。

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ケア用品も充実!特に歯みがきに高い関心が寄せられています。

日本では動物病院専用のケア用品も、中国ではペットショップで購入することができるようでした。

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1階の奥と2階は、トリミング専用のスペース。

約7割の顧客が、1カ月に2~3回シャンプーに訪れます。猫も、シャンプーの平均的な来店回数は2カ月に1回と多め。トリミングコースは1時間・2時間・3時間コースから選択することができます。

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飼い主さん用の待合スペースを完備。

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飼い主さんの希望があれば、1匹ずつ専用の歯ブラシやシャンプーを保管してくれます。

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お客様の安心のため、タオルは滅菌処理。

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広々としたトリミングルーム。フル稼働時で7頭同時に対応可能です。

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華やかな仕上げ用品。

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トリミングカルテ。毎回お客様に渡しているそうです。

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こちらは空っぽの生体販売用ケース。安定して健康な子犬や子猫を仕入れることが難しいことから、生体販売はやめたそうです。こういう決断ができる点も、人気店である理由なのかもしれません。


次はアジア最大級の展示会「ペットフェアアジア」で最新トレンドをチェック!
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3日間で約13万人を動員!世界各国から注目のアイテムが集まった、超大規模展示会「ペットフェアアジア」の様子はこちら

ライター紹介

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浦上 真希

動物が大好き。新卒でペット保険会社に入社し、6年勤めた後、さらなる挑戦のためシグニ株式会社に入社。ペットサロン・ショップ様向けのサービス「シグニペットスペシャリスト」を主に担当しています。好きな動物は猫、好きな猫の部位は手の甲です。