デンタルホームケア指導法 ①歯ブラシができるようになるまでの流れ

フジタ動物病院 院長 藤田桂一先生に、デンタルホームケアについて記事を執筆いただきました。さらなる技術習得に、復習に、ぜひご活用ください。

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【藤田先生のプロフィール】
日本獣医畜産大学大学院の修士課程を修了後、大阪府の動物メディカルセンターに勤務。1988年に埼玉県上尾市でフジタ動物病院を開院。その後、日本大学大学院獣医学研究科研究生として、日々の診察を行いながら大学へ通い、「猫歯肉口内炎に関する獣医歯科学的研究」で博士号(獣医学)を取得。
 
岩手大学農学部獣医学科非常勤講師(2008~2012年)、帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科非常勤講師(2012年~)、日本大学生物資源科学部獣医学科高度臨床獣医学非常勤講師(2013年~)も務める。
 
現在、日本小動物歯科研究会会長、動物臨床医学会理事、日本獣医療倫理研究会理事など、多くの学会や研究会に所属し、精力的に活動を行っているほか、獣医歯科学の講演・執筆・取材も多数。


はじめに
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歯周病は、毎日のケアで予防できる疾患である。理想的には社会的形成期に歯磨きを覚えてもらい、習慣化することであるが、すでに歯周病などに罹患している個体では、歯垢・歯石除去や歯周外科治療、あるいは抜歯などを行って、炎症をなくしてからデンタルホームケアを行うことが大切である。

歯周病の予防方法
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歯周病治療を行っても、その後口腔内の衛生管理を行わなかった場合は、急速に歯面に歯垢・歯石が付着する。そのため歯周病予防としてデンタルホームケアは欠かせない。

そのゴールドスタンダードは、歯ブラシを用いた歯磨きである。しかし、どのようにしても個体が非協力的なために、歯磨きができないと訴える飼い主は少なくない。このような場合は順を追って行うことにより、歯磨きができるようになることが多い。

デンタルホームケアのスタート年齢と頻度
【1】デンタルホームケア(歯ブラシ)ができるようになるまで

準備するものは、次の通りである。
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デンタルホームケアが大切であると認識した飼い主が、いきなり歯ブラシを用いて「歯磨きをするぞ!」と意気込んで行おうとすると、個体が緊張して身構えてしまい、それ以上のケアができなくなることが多い。

このような場合、まず飼い主自身がリラックスした気持ちで、個体もリラックスさせて、飼い主の指で個体の口腔周囲を触れることに、慣れさせることから始めることが大切である(写真1)。

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(写真1)

その際、都度褒めてあげ、好きなご褒美をあげる。これを何度も繰り返す。その後、飼い主が指で歯肉や歯面をそっとなでることを繰り返す(写真2)。

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(写真2)

この際、開口する必要はなく、口を閉じた状態でよい。個体には口腔周囲を触れたら何かいいことがある、おいしいものがもらえると認識させることが重要である。例えば、好きなデンタルジェルをなめさせてもよい(写真3)。

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(写真3)

ここまでできるようになったら、指にガーゼを巻いて(写真4)、水や湯、動物用歯磨きペーストなどで濡らして、あるいはデンタルシートを用いて、口腔内、特に歯の側面をなでるようにして、これを繰り返す(写真5)。この際も閉口したまま歯の頬側面(外側面)のみ行えばよい。

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(写真4)

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(写真5)

これに慣れてきたら上顎犬歯の尾側を上方から人差し指と親指を用いて、頬の皮膚ごとやさしく巻き込むことで開口する(写真6)。

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(写真6)

こうすると、個体にとって頬粘膜が歯列の内側にあり、口を閉じようとすると自らの頬粘膜を咬むことになるため、開口したままの状態が保たれる。このまま下顎歯の頬側面・唇側面(外側面)や上下顎歯の舌側面(内側面)の歯面をなでるようにする。

また、ガーゼやデンタルシートに慣れてきたら、次に指サック式デンタルブラシなどを用いて歯磨きを行ってもよい。

※本記事の続きとなる「②正しい歯磨きの方法とデンタルケア商品の利用について」はこちら

ライター紹介

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山口 杏

ブライダル業界・インフラ業界・そして前職ではペットフード業界と、さまざまな業界を渡り歩く編集者。「情報を制する者が、マーケットを制す!」という思いから、Vet Lifeを通じ、飼い主さんのニーズや獣医療業界の最前線情報を届ける、お役立ちライターに成長したいと考えている。趣味は動物ブログを読むこと。好きな犬は柴犬、猫は茶トラ。