2016/09/23

頑張った手を労わろう ひっかき傷を早く治す方法

動物病院で働いていると、あちこちにひっかき傷や噛み跡がつくことでしょう。診療をきちんと進めるために押さえようとした動物が暴れ出すのはよくあることで、そのたびに動物看護師さんには生傷が絶えません。

これらの傷は仕事を頑張っている勲章でもありますが、やはり傷が残るのは嫌だと思う人も多いと思います。特に動物による傷の場合は、思いがけず感染症に発展する可能性があります。

早く傷を治すためにも、今回は6つのケアに沿って、ひっかき傷への適切な対応を学んでいきたいと思います。



ケア①傷口をよく洗う

201611091715_1.jpg

まず、大切なのは水道水で傷口をよく洗浄することです。病院などでは生理食塩水で洗うことも多いようですが、水道水で問題ありません。ただ傷にしみるからといって、チョロチョロとかけたり、ティッシュを濡らして傷口をポンポンするぐらいでは、細菌の数を減らしたり、皮膚についた異物を取り除いたりすることはできません。水圧を上げて、傷口をしっかりと洗い流してください。


ケア②傷口をよく消毒する
201611091715_2.jpg

動物による傷の場合、消毒が重要です。特に猫の爪には細菌がたくさん存在するので、これらが傷の中に入ると感染してひどい炎症を起こす危険があります。これは、掃除の行き届いた部屋の中で飼っている猫でも例外ではありません。消毒液を用いて、しっかりと傷口を消毒してください。


ケア③湿潤療法(モイストヒーリング)を用いる
201611091715_3.jpg

湿潤療法とは、患部を乾かさないように密封して湿気を保つことで、人間が本来持っている自然治癒力を引き出すとされている治療法です。従来の傷を乾かす方法よりも、痛みが軽く、傷跡が残りにくく、治りも早いと言われています。

通常、湿潤療法においてはケア②のような消毒を行うことは推奨されていませんが、動物による傷は思わぬ細菌に感染する恐れがあるため、必ず消毒してください。消毒後、消毒液を水道水で洗い流し、水気を拭き取った後、湿潤療法用絆創膏(※)を貼って傷を保護してください。

(※)代表的な商品:バントエイドキズパワーパッド、デルガードクイックパッド、ケアリーヴ治す力、リーダーハイドロ救急パッド、プラスモイストP


ケア④傷の治りを悪くする事柄を減らす
201611091715_4.jpg

傷に力が加わると治りが遅くなるので、傷口を保護した後はなるべく触らないでおきましょう。傷口を乾燥させないことも大切になります。また、体の調子が悪くなると治癒力が落ちるので、規則正しい健康的な生活を心がけることなども大切です。傷の治りを悪くする事柄は、出来る限り減らしていきましょう。


ケア⑤少しでも不安を感じたら、病院で医師の診察を受ける
201611091715_5.jpg

ケア③で述べた、湿潤療法による傷の治療は従来の治療に比べて早くきれいになると言われています。ただし、これは「ひっかき傷」レベルの話においてです。感染症の疑いがある場合はこの限りではありません。

例えば猫は、バルトネラ・ヘンセラ菌という細菌を持っていて、これが傷口から入るとリンパ節の炎症を起こして患部が腫れてきて、発熱や吐き気、頭痛が伴うこともあります。いわゆる「猫ひっかき症」と呼ばれる症状を引き起こします。また傷が深すぎて、「ひっかき傷」とはもはや言えない場合も同様です。これらの判断を自分一人でしてしまうのは大変危険です。

少しでも不安な時、異変を感じた時には、迷わず、形成外科・外科・皮膚科などで医師に傷を診てもらうことをおすすめします。また、どの程度の消毒が必要なのか、どんな消毒剤を使うのが良いのかというのも、最終的には、診療を担当した医師の判断に従ってください。


ケア⑥傷が治った後は、日焼け対策をする
201611091715_6.jpg

傷が治った後に、傷口がミミズ腫れのようになることがあります。これは傷口をくっつける接着剤のような役割をする組織が、次第に盛り上がってくるからです。時間が経てば体の中に吸収されて平らになりますが、完全に無くなることはありません。新しくできた皮膚は色素沈着しやすく、傷痕が目立ってしまう可能性があります。できるだけ早くきれいにしたい場合は、1年くらい小まめに日焼け止めクリームを塗るなど、紫外線対策をしましょう。


適切なケアで、美しい肌へ
201611091715_7.jpg

「ひっかき傷を早く治す方法」として、6つのケアとともにご紹介させていただきました。傷の絶えないお仕事ではありますが、できるだけ痕が残らないように治療し、きれいな肌を手に入れましょう!

ライター紹介

53_ext_01_0.jpg

武井 凛

山梨県出身のひよっこライター。 大学では畜産動物の栄養・飼養学を専攻。 卒業後、サービス業にて接遇マナーについて追及。 シグニではサービスの企画・営業・運営を担当。 目標は、なりたい職業ランキング1位を「獣医師/動物看護師」にすること。

関連タグ