【犬の保定術シリーズ】処置別の保定法 ③留置処置(前肢)と皮下注射時の保定

白金高輪動物病院、中央アニマルクリニック 総院長 佐藤貴紀先生に、犬の保定について記事を執筆いただきました。第3回目となる今回は、「留置処置(前肢)と皮下注射時の保定」について、お届けします。

※第1回「後肢伏在(サフェナ)静脈採血時の保定」についてはこちら
※第2回「頸静脈採血時の保定」についてはこちら
※第4回「超音波検査時(心臓、腹部)の保定」についてはこちら
※第5回「レントゲン検査(胸腹部)・眼検査時の保定」についてはこちら
※第6回「耳掃除・爪切り・肛門腺絞り時の保定」についてはこちら

 
<TOPICS>
・橈側皮静脈留置時の保定
・皮下注射時の保定


橈側皮静脈留置時の保定
201612091117_1.jpg
 
保定時の動物との位置関係:
小型犬では、保定者の体の前面と動物の後面が接する位置関係
大型犬では、保定者の体の前面と動物の側面の位置関係

保定に必要なもの:
エリザベスカラー、口輪、駆血帯など

保定者:
1名

◆ポイント◆--------------------------------------
犬の肘の固定をうまく行い、親指もしくは人差し指で駆血を緩めます。
---------------------------------------------------

(1)基本は犬座姿勢にします。小型犬で動きそうな子は伏座姿勢にして腕と体で挟み、安定させます。犬の右手に入れる場合は、保定者の左腕で頸部が動かないように下から保定します。この場合は、保定者の体と犬が離れないように注意が必要です。(写真A)
201612092037_1.jpg

(2)犬の左手に入れる場合は、保定者の左手で犬の左肘を固定します。そして、前に伸展させます。伸展させた手を動かさないように、親指もしくは人差し指以外の指で肘関節を固定します。そして親指や人差し指で駆血を行います。(写真B)
201612092037_2.jpg

(3)駆血した血管に留置針が入り、内筒を抜いた後は血液が逆流しないように駆血を緩めます。ただし、駆血を緩めると肘が動きやすくなるため注意が必要です。その後、プラグを入れテープを巻き終わるまで駆血を緩め、保定を行う必要があります。(写真C)
 
基本はどの犬種も変わりません。
201612092037_3.jpg


皮下注射時の保定
201612092037_4.jpg

◆ポイント◆--------------------------------------
頭を確実に固定することが重要。
---------------------------------------------------

小型犬の場合
皮下注射をする場合はほとんどが頸背部付近に接種します。その部分を露出させるためには顔を押さえ込み、体を安定させます。(写真A:保定の全体像が分かる図、写真B:胴体の保定部を見やすくした図)
201612092037_5.jpg

201612092037_6.jpg


他の処置別保定法はこちら!
201612121242_1.jpg

※第1回「後肢伏在(サフェナ)静脈採血時の保定」についてはこちら
※第2回「頸静脈採血時の保定」についてはこちら
※第4回「超音波検査時(心臓、腹部)の保定」についてはこちら
※第5回「レントゲン検査(胸腹部)・眼検査時の保定」についてはこちら
※第6回「耳掃除・爪切り・肛門腺絞り時の保定」についてはこちら

ライター紹介

87_ext_01_0.jpg

鈴木 杏奈

好奇心旺盛でグルメな獣医師ライター。麻布大学卒業。 獣医師免許の他にトリミングライセンスやダイビングライセンスも取得しているが、臨床には進まず、動物看護師とトリマーの専門学校の教員・水の分析会社・ペット保険会社を経験。 現在は「獣医療業界に携わる方々にワクワクを!」という思いのもと、シグニ株式会社でイベントやセミナー・キャンペーンなどのおもしろ企画や有益情報の配信などを行っている。